ロータリーがポリオ撲滅に9650万ドルの補助金を提供

ロータリーは8月15日、世界的なポリオ撲滅活動の支援を目的として1億ドル近い補助金を提供することを発表しました。ポリオ(急性灰白髄炎)はワクチンで予防可能な感染症で、かつては年に数百人の子どもがポリオによる身体まひを発症していました。

ナイジェリアでは、2016年に4件の症例が報告されて以来、2年間、野生型ポリオウイルスによる症例が1件も報告されていません。これは、特に政情が不安定かつ予防接種が行き届きにくい地域において、監視体制およびロータリーと世界ポリオ撲滅推進活動(GPEI)が定めた緊急対応プロトコルが改善されたことを意味します」と、ロータリーのインターナショナル・ポリオプラス委員長、マイケル K. マクガバン氏は述べます。「この進展はポリオ撲滅への希望をつなげるものですが、その達成に必要な政治的・経済的支援を維持し続けるには、努力を倍加させる必要があります」

ポリオ撲滅は大きく進展していますが、野生型ポリオウイルスは現在も世界に存在します。今年は現在までに、アフガニスタンで10件、パキスタンで3件のポリオ症例が報告されています。ポリオに感染する子どもが1人でもいる限り、全世界の子どもがポリオの脅威にさらされることになります。このため、さらなる活動資金と各国政府のコミットメントが必要とされています。

ポリオの発症者が出ている国での活動を支援するため、ロータリーは、今回発表した補助金のほぼすべてを野生型ポリオウイルスの常在国であるアフガニスタン(2290万ドル)、パキスタン(2170万ドル)、ナイジェリア(1610万ドル)での撲滅活動に配分します。

そのほかに、既にポリオが撲滅された国のうち、ウイルス流入のリスクのある下記のアフリカ諸国での予防接種活動にも資金を配分します:

・カメルーン(98,600ドル)
・中央アフリカ共和国(394,400ドル)
・チャド(1.71 million)
・コンゴ民主共和国(1040万ドル)
・ギニア(527,300ドル)
・マダガスカル(690,000ドル)
・マリ(923,200ドル)
・ニジェール(85,300ドル)
・シエラレオネ(245,300ドル)
・ソマリア(776,200ドル)
・南スーダン(350万ドル)
・スーダン(260万ドル)

アフリカではこのほかに、監視活動に580万ドル、技術援助に467,800ドルの補助金が提供されます。さらに、バングラデシュ(504,200ドル)、インドネシア(157,800ドル)、ミャンマー(197,200ドル)、ネパール(160,500ドル)での活動に加え、東南アジアでの監視活動に追加96,300ドルが配分されます。残りの資金(660万ドル)は、世界保健機関(WHO)での調査・研究の支援に充てられます。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団はロータリーがポリオ撲滅に投入する資金に対し、その2倍の寄付を上乗せすることを約束しました。この機会を最大限に生かすため、ロータリーは年に5000万ドルを募金し、ゲイツ財団からの上乗せを合わせて3年間に4億5000万ドルをポリオ撲滅活動に投入することを目標としています。1985年にポリオ予防接種を目的とする「ポリオプラス」プログラムを開始して以来、ロータリーがポリオ撲滅活動に投入した資金は、ゲイツ財団からの上乗せを含めて18億ドルに上ります。さらに、大勢のロータリー会員がボランティアでポリオ撲滅活動に参加してきました。1988年、ロータリーはWHO、UNICEF(国連児童基金)、米国疾病対策センター(CDC)とともに「世界ポリオ撲滅推進活動(GPEI)」を発足し、中心的な役割を果たしてきました(後にゲイツ財団が参加)。この取り組みの開始以来、ポリオの症例は99.9%以上減少し、1988年に35万件だった症例数は、2017年には わずか22件にとどまっています。 

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ハミド・ジャファリ(WHO東地中海地域ポリオ担当ディレクター) | 3月. 25, 2024