ポリオ撲滅 ロータリーへの期待

有史以来、人類を苦しめてきたポリオ(小児麻痺)。そのポリオを地上から撲滅するという大きな夢が実現する日が近づいています。

有史以来、人類を苦しめてきたポリオ(小児麻痺)。そのポリオを地上から撲滅するという大きな夢が実現する日が近づいています。7月21日現在、2017年に報告された野生株ポリオの症例数はわずか8例(アフガニスタン5例、パキスタン3例)で昨年同時期の19例を大きく下回っています。

先月のロータリー国際大会では、各国政府や主要ドナーが改めてポリオ撲滅に向けた決意を新たにするとともに、13億ドルの寄付を約束しました

ナイジェリアを含むアフリカでは、昨年8月以降新たな症例の発生がなく、ポリオの根絶を達成した日本を含む西太平洋地域、南北アメリカ、東南アジア、および欧州地域に続く根絶をアフリカ地域でも達成できるのではないかと期待が高まっています。パキスタン・アフガニスタンでは主に情勢が不安定な国境地帯を中心に流行が続いておりますが、パキスタン政府の関心は非常に高く、流行地域の治安状況の回復と合わせ、ポリオ撲滅に向けた取り組みが強化されています。

また、野生株ポリオの根絶が進むにつれて、以前日本でも問題になった、経口生ワクチン(OPV)由来の麻痺やワクチン由来ポリオウイルスの重要性がクローズアップされるようになり、WHOを中心にOPVから不活化ワクチン(IPV)への切り替えが進められています。

ロータリーはこの世界からのポリオ根絶を最初に提言した 団体であり、国際的なパートナーシップである、GPEI(ポリオ根絶のためのグローバルパートナーシップ)の主要メンバーとして、現在に至るまで資金面,各国での草の根レベルでの予防接種キャンペーンの実施,および他のドナーへの働きかけ等において、継続的にポリオ根絶を支援しています。

先日、ロータリーでポリオ撲滅を提唱し、GPEIの生みの親となったJohn Sever博士(ポトマックロータリークラブ、インターナショナル・ポリオプラス委員会)をジュネーブの当クラブでの例会にお招きし、ポリオ撲滅を提唱するに至った経緯、ポリオ撲滅に向けたロータリーの取り組みと今後の見通しについて伺いました。博士の話の中では「どんなときも決してあきらめてはいけない」「今までに達成したことはすばらしいが、今一番大切なのはポリオを終わらせるために今何をすべきか議論することだ」という言葉が非常に印象に残りました。

Sever博士のプロファイルとニューヨークでの2014年の講演内容をご参照ください。

間近に迫ったポリオの撲滅を実現し、その成果を確実なものにするために世界中の国・団体が協力することが求められています。特に、国際的な社会奉仕団体としてポリオ根絶の目標に一丸となって取り組み、現地でも草の根レベルで活動を続けるロータリーへの期待は非常に大きいと感じています。

ポリオ撲滅の背景、さらに詳しい説明、日本の役割については「世界ポリオ根絶イニシアティブの現状と展望」の記事をご参照ください。

【著者紹介】
岡安裕正

慶應義塾大学医学部卒業
在沖縄米国海軍病院インターン
マッキンゼー・アンド・カンパニー東京オフィス勤務
スタンフォード大学経営大学院留学(経営学修士)を取得
マッキンゼー・アンド・カンパニー米国ニュージャージーオフィス勤務
世界保健機関(WHO)ポリオ根絶イニシアティブ、チームリーダー(イノベーション・製品開発担当)
ジュネーブインターナショナル・ロータリークラブ会員
 


 

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ハミド・ジャファリ(WHO東地中海地域ポリオ担当ディレクター) | 3月. 25, 2024