『リーチング・ラストマイル・フォーラム・イン・アブダビ』で世界のリーダーたちが一堂に会し、ポリオ根絶の取り組みに26億米ドル(約2823億円)の拠出を誓約

2019年11月19日にアブダビで開催された『リーチング・ラストマイル(RLM)・フォーラム・イン・アブダビ』で世界のリーダーたちが一堂に会し、世界ポリオ根絶推進活動の『ポリオ根絶・エンドゲーム戦略計画2019-2023』に必要な資金調達の第一段階として26億米ドル(約2823億円)を拠出し、ポリオ根絶に取り組んでいくことを確認しました。

今回の誓約ベントは、3種類ある野生型ポリオウイルス株のうち2種類が世界から根絶され、現在蔓延している野生ポリオウイルスが1型(WPV1)のみになったという先月の重大発表を受けて開催されたものです。さらに、野生型ポリオウイルスによる症例を抱えるアフリカ最後の国・ナイジェリアでも、2016年以降、野生ポリオウイルスの発生が確認されていないため、WHOアフリカ地域全域が2020年にもポリオのない地域として認定される可能性が出てきました。医療従事者や各国政府、ドナー、パートナーの献身的な貢献により、野生型ポリオウイルスが蔓延している国は現在パキスタンとアフガニスタンの2カ国のみとなっています。

世界保健機関局長であり、ポリオ監視委員会委員長も務めるテドロス・アダノム・ゲブレイェスス博士は次のように述べています。「世界最大規模の医療従事者のサポートから、すべてのこどもたちに対するワクチン投与まで、世界ポリオ根絶推進活動(GPEI)はポリオのない世界の実現を推し進めているだけでなく、他のさまざまな医療ニーズに対応する上で不可欠な保健インフラも構築しています。本日発表された寛大なご寄付について大変嬉しく思っており、また私たちを支援している各国政府やドナー、パートナーにも感謝しております。とりわけ、今回のGPEIの誓約イベントを主催し、またポリオ根絶においても長期にわたり支援されているアブダビ皇太子のムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン殿下に感謝の意を申し上げます」

本日発表された誓約により、ポリオ根絶の取り組みは大きな局面を迎えることになります。一方で、一貫性のないキャンペーン内容や、不安定な状況、紛争、膨大な人口の移動、そして中にはワクチン投与を拒否する保護者がいるなど、このような問題がすべてのこどもたちをポリオから守る際の妨げとなっており、またパキスタンとアフガニスタンにおいて野生型ポリオウイルスの蔓延が今なお続いている現状の原因でもあります。さらに、すべてのこどもたちにワクチン投与が行き届いていないアフリカやアジアの一部でポリオウイルスに対する免疫が低くなっており、その結果、希少種のポリオウイルスも発生しています。このような問題を克服し、毎年4億5000万人のこどもたちをポリオから守るため、今回、各国政府やドナーが、ポリオ根絶・エンドゲーム戦略計画において必要とされる32億7000万ドル(約3500億円)というニーズに対して、新規に多額の財政拠出を行うことを発表しました。

誓約は次の多様なドナーから提供されます。今回の誓約イベントを主催したアブダビ皇太子のムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン殿下(1億6000万ドル/約174億円)。各国政府は次の通り:米国(2億1592万ドル/約233億円)、パキスタン・イスラム共和国(1億6000万ドル/約174億円)、ドイツ(1億505万ドル/約114億円)、ナイジェリア連邦共和国(8400万ドル/約91億円)、ノルウェー(1083万ドル/約12億円)、オーストラリア(1029万ドル/約11億円)、日本(740万ドル/約8億円)、ルクセンブルグ(222万ドル/約2.4億円)、ニュージーランド(135万ドル/約1.5億円)、スペイン(11万6000ドル/約1300万円)、リヒテンシュタイン(10万ドル/約1000万円)。GPEIのパートナーは次の通り:ビル&メリンダ・ゲイツ財団(10億8000万ドル/約1172億円)、国際ロータリー(1億5000万ドル/約160億円)。慈善団体は次の通り:ブルームバーグ財団(5000万ドル/約54億円)、ダリオ財団(2500万ドル/約27億円)、タヒル財団(1500万ドル/約16億円)、国連基金(640万ドル/約6.9億円)、アルワリード財団(200万ドル/約2.1億円)、 チャリーナ恒久基金(100万ドル/約1.8億円)、寧夏燕宝慈善基金(100万ドル/約1.8億円)。民間セクターは次の通り:アハメド・アル・アブドゥラ・グループ(100万ドル/約1.8億円)、アル・アンサリ・エクスチェンジ(100万ドル/約1.8億円)、カスタ・テクノロジーズ(34万ドル/約3700万円)。また今月上旬には、英国が最大5億1480万ドル(約560億円)をGPEIに拠出すると発表しています。

アラブ首長国連邦(UAE)の閣僚であり国際協力担当国務大臣を務めるリーム・アル・ハーシミー氏は次のように述べています。「今回はアブダビでGPEIの誓約イベントを主催でき光栄に思っており、ポリオ根絶に向けたたゆまぬ貢献をされている参加者の皆さまにも感謝いたします。2014年の設立以来、エミレーツ・ポリオ根絶キャンペーンではこれまでにパキスタンの最僻地の一部において4億3000万本以上のポリオワクチンを提供してきました。私たちは子どもたちを最後の一人までポリオから守るという使命を固く守り、力を合わせることでポリオを過去のものとして歴史のページに刻むことができると信じています。」
すべての子どもたちをポリオから守る際に妨げとなっている問題の克服に加え、この資金を活用することで、GPEIが構築したリソースやインフラが現在の、そして将来のあらゆる保健ニーズも支えていくことになります。ポリオ根絶に携わるスタッフはビタミンAサプリメントの提供、麻疹や黄熱病といった疾病のためのワクチン配布、授乳に関する新生児の母親へのアドバイス、そして疾病発生の予測・対応に関する疾病監視体制の強化といった業務に従事しています。また男女平等の推進や女性の地位向上に資する取り組みの一環として、GPEIはプログラムのすべての段階で女性が平等に参画できる環境を整えています。

ポリオが世界から根絶されるという未来は、個人から地域社会、地方自治体や政府からドナーまで、プログラムのすべての段階における皆さまの支援と関与に委ねられています。子どもたちにワクチンを投与するという戦略が申し分なく実施され、十分な財政支援を受けることができれば、すべてのこどもたちがポリオを心配せずに暮らせる世界を必ず実現することができるはずです。

寄付金額は米ドル表記となっています。ドナーと寄付金額のリストはこちらからご覧いただけます

<なし>

ポリオにまつわるストーリーをご紹介ください
ストーリーをシェア
ハミド・ジャファリ(WHO東地中海地域ポリオ担当ディレクター) | 3月. 25, 2024